3-4. クリティカルパス法(CPM)とガントチャートによる期日管理

タスク間の依存関係を整理したあと、次にすべきことは「プロジェクト全体の最短完了期間はいくらか」「どのタスクの遅延がプロジェクト全体に影響するか」を明らかにすることです。これを算出する手法が「クリティカルパス法(CPM:Critical Path Method)」です。

クリティカルパスとは何か

クリティカルパスとは、「プロジェクト開始から終了までを結ぶ、依存関係を持つタスク群の最長経路(ルート)」のことです。

  • この最長経路の長さが、プロジェクト全体の最短工期を決定します。
  • 特徴: クリティカルパス上にあるアクティビティは、「フロート(Float / 余裕時間)」がゼロです。つまり、クリティカルパス上の作業が1日でも遅れると、プロジェクト全体の完了日も1日遅れます。

クリティカルパスのタスクと余裕時間があるタスクの比較

クリティカルパス上にあるタスクと、そうでないタスクの性質の違いをまとめました。

属性 クリティカルパス上のタスク 非クリティカルパス上のタスク PMにとっての管理戦略
トータル・フロート
(総余裕時間)
ゼロ(0)
遅延が全体の遅れに直結する。
プラス(> 0)
フロートの範囲内で遅れが許容される。
非クリティカルパスのタスクからクリティカルパスのタスクへリソースを一時的に再配分する余地がある。
遅延時の影響 プロジェクト全体の完了納期が直接遅延する。 猶予時間(フロート)の範囲内であれば全体の納期に影響しない。 クリティカルパス上のタスクの進捗遅れは、速やかな状況確認とリカバリー計画の検討が必要。
管理優先度 。重点的に監視する。 中〜低。定期的な進捗確認を行う。 PMは、定期的なミーティングなどでクリティカルパスの進捗を重点的に確認する。

スケジュールネットワークとクリティカルパス

以下のネットワーク図では、スタートからゴールまでいくつかのルートがあります。各タスクの所要日数を足し合わせると、クリティカルパスが浮かび上がります。

スタート タスクA (3日) タスクB (4日) タスクC (6日) タスクD (5日) ゴール 上ルート:3日 + 4日 = 7日 下ルート(クリティカルパス):6日 + 5日 = 11日
図 3-4:スケジュールネットワークにおけるクリティカルパスの特定(合計所要日数が最大の経路)

ガントチャート(Gantt Chart)による視覚化

クリティカルパスや各作業の期間、および並行関係をカレンダー上にプロットしたものが「ガントチャート(Gantt Chart)」です。

ガントチャートは、縦軸に「作業項目(WBSの要素)」を、横軸に「時間(日付・週)」を取り、作業期間を横棒(バー)で表します。

各担当の作業状況やマイルストーンに対する進捗を把握しやすく、顧客報告から社内管理まで広く活用されるツールです。

スケジュール圧縮の2大テクニック

プロジェクトが遅延した際、PMがスケジュールを短縮(圧縮)するために使える主要なテクニックが2つあります。

  1. クラッシング(Crashing / 資源追加): コストを追加投入して人を増やし、作業期間を縮める方法(例:エンジニアを1名追加して開発を早める)。コストが増加するデメリットがあります。
  2. ファスト・トラッキング(Fast Tracking / 並行処理): 本来は順番に行う予定だったタスク(FS関係)を、一部並行して同時に走らせる方法(例:設計書が7割完成した時点で実装をスタートする)。直接的な追加コストは発生しにくいものの、手戻り(やり直し)のリスクが高まるデメリットがあります。