5-3. チームの組織化:リソース計画と責任分担マトリクス(RACI)
プロジェクトのスケジュールとリスクを計画したあと、必要になるのが「誰がそのタスクを実行するのか」というリソース(人員、設備、予算など)の割り当てです。特に人的リソースに関しては、「誰が何の責任を負っているのか」を明確に定義しておくことが重要です。
RACI(レイシー)マトリクスとは何か
RACIマトリクス(RACI Matrix)とは、プロジェクトの各タスクや成果物に対して、チームメンバーがどのような役割と責任を担っているかをマッピングした表(責任分担マトリクス:RAMの一種)のことです。
RACIは、役割を表す以下の4つの頭文字から構成されています。
| 役割(英名) | 頭文字 | 定義と具体的な責任範囲 | 設定上のルール |
|---|---|---|---|
| 実行責任者 (Responsible) | R | そのタスクの作業を実行する責任者。複数アサイン可能。 | タスクを実行する担当者を1名以上設定します。 |
| 説明責任者 (Accountable) | A | そのタスクの最終的な成果物の品質や成否に責任を持ち、最終承認の権限を持つ者。 | 1つのタスクに対して、Aは「1名のみ」アサインします(責任の所在を明確にするため)。 |
| 協働者(相談先) (Consulted) | C | タスク実行にあたり、アドバイスや専門知識、インプットを提供する相談相手。双方向の対話。 | 相談先は適切な人数の専門家に絞ります。 |
| 被報告者(報告先) (Informed) | I | タスクの進捗状況や決定事項について、報告を受けるだけの関係者。一方向の伝達。 | 実務や判断には関わらないが、意思決定による影響を受ける人に割り当てる。 |
RACIマトリクスの例
RACIマトリクスでは、縦軸に「WBSのワークパッケージ(作業)」を、横軸に「プロジェクトの役割・個人」を配置し、交点に R、A、C、I の文字を書き込みます。
図 5-3:RACIマトリクスによる役割分担定義の例
RACI設計における注意点
RACIを設計する際、以下の点に注意する必要があります。
- A(説明責任者)が不在、または複数アサインされている: Aが不在だと最終的な責任の所在が不明確になり、複数いると判断が分散する可能性があります。最終的な責任者は1名に定めます。
- R(実行責任者)が複数いる場合: 実行責任者が多数いると、作業の進行が停滞する可能性があります。実作業者が複数いる場合でも、主担当者を明確にすることが推奨されます。