4-2. 予算設定とコントロール・アカウントの配置

個々のアクティビティやワークパッケージのコスト見積もりが完了したら、それらを合算してプロジェクト全体の「予算(Budget)」を設定します。予算を設定する際には、不測の事態に備えた「予備費」をどのように組み込むかが重要です。

予算の積み上げプロセス

予算は、ボトムアップ的に以下の順序で積み上げて決定します。

  1. 各アクティビティのコストを見積もる。
  2. アクティビティコストを合算し、既知のリスクへの対策費である「コンティンジェンシー予備(Contingency Reserve)」を足して、「ワークパッケージのコスト」を算出する。
  3. ワークパッケージを合算し、必要に応じて複数のワークパッケージを束ねた管理単位である「コントロール・アカウント(Control Account)」のコストを算出する。
  4. これらをすべて集計したものが、プロジェクトの公式な予算目標である「コスト基準線(Cost Baseline)」となります。
  5. コスト基準線に、未知のリスク(想定外のトラブル)に備えた「マネジメント予備(Management Reserve)」を上乗せしたものが、最終的な「プロジェクト予算」になります。

2種類の予備費の比較

予算管理に欠かせない「コンティンジェンシー予備」と「マネジメント予備」の違いを比較した表です。

予備費の種類 対象とするリスク 予算の持ち主・承認権限 使用・執行のプロセス
コンティンジェンシー予備
(Contingency Reserve)
既知の未知(Known-Unknowns)
あらかじめ想定している特定のリスク(例:梅雨による工事遅延、テストバグ修正)。
プロジェクトマネジャー(PM) リスクが発生した際、PMの裁量で予算を直接使用し、対策を実行できる。コスト基準線に含まれる
マネジメント予備
(Management Reserve)
未知の未知(Unknown-Unknowns)
計画段階では予測困難な事態(例:大規模な震災、急激な円安、主要ベンダーの破産)。
プロジェクトスポンサー(経営陣) 使用する際には、正式な変更管理プロセスを通じてスポンサーの承認を得る必要がある。コスト基準線には含まれない

予算の積上げ構成

プロジェクト全体の予算は、以下のように細部から全体に向けて積み上げられ、基準線と予備費がマッピングされます。

プロジェクト総予算 マネジメント予備 (スポンサー管轄) コスト基準線(Cost Baseline) ※PMの目標線 コントロール・アカウント(監視単位) ワークパッケージ + コンティンジェンシー予備 ワークパッケージ + コンティンジェンシー予備
図 4-2:プロジェクト予算の階層構造と予備費の関係

コントロール・アカウント(Control Account)による監視

WBSの各ワークパッケージに対して個別に予算をチェックすると、PMの管理負荷が増大します。

そのため、いくつかのワークパッケージをグループ化し、予算の実行管理や測定を行うチェックポイントである「コントロール・アカウント(Control Account)」を配置します。通常は、WBSのレベル3付近に配置され、ここで予算の消費状況(予算実績差異)をモニタリングすることで、軌道修正の判断がしやすくなります。