7-1. 自作か購入か:内外製分析とベンダー選定

プロジェクトで必要となるすべてのシステム、部材、サービスを、自社リソースだけで作り上げるのは非効率的です。自社の強みに集中し、一部の専門領域は外部から調達(外注・購入)するのが合理的です。これらを論理的に検討する手法が「内外製分析(Make-or-Buy Analysis)」です。

内外製分析(Make-or-Buy Analysis)の判断基準

「内製(Make:自作)」と「外製(Buy:購入・外注)」のどちらを選択するかは、単なる費用の比較だけでなく、以下の複数の要素から総合的に判断します。

比較項目 内製(自社で作成)を選択すべき状況 外製(外部調達・外注)を選択すべき状況 経営上の判断・メリット
コアコンピタンス その技術やノウハウが、自社の競争力の源泉(知的財産・コア事業)である場合。 自社にとっては非コア事業であり、他社が専門的な強みを持っている場合。 内製:コア技術の社内蓄積と流出防止。
外製:外部専門性の活用による効率化。
コスト比較 社内の余剰リソースが豊富で、自社で作る方が限界コスト(直接費)が低く抑えられる場合。 自社開発では初期投資が大きくなるが、外部のパッケージ製品を購入することでコストを抑えられる場合。 「固定費(内製)」か「変動費(外注)」かという財務戦略的判断も伴う。
リソース・専門性 社内に十分な開発ライン、設備、専門知識を持った人員がすでに確保されている場合。 社内にその技術のノウハウがなく、一からメンバーを教育する時間的猶予がない場合。 外製を選択することで、人材不足のプロジェクトにおけるボトルネックを即座に解消できる。
コントロール(管理度) 開発の進め方や品質基準を自社でコントロールし、柔軟に変更したい場合。 仕様が明確に定義されており、スケジュール通りに納品されることを重視する場合。 内製:機密保持や急な仕様変更が容易。
外製:契約(SLA)に守られた安定供給。

内外製意思決定フロー

以下のフローチャートは、プロジェクトで必要になった要素を「内製」すべきか「外注」すべきかを論理的に判断する手順をビジュアル化したものです。

必要な成果物の検討 自社のコア技術か? (知的財産等) Yes No 社内リソース・スキル はあるか? Yes No 内製する (Make) 外注・購入する (Buy)
図 7-1:内外製分析(自社で作るべきか、外部調達すべきか)の意思決定フロー

ベンダー選定の調達ドキュメント

外部調達(外注)を決定した場合、適切なベンダーを選定するために公式な文書を作成し、競争入札や見積もり依頼を行います。主要な文書は以下の通りです。

  • 情報提供依頼書(RFI: Request for Information): どのような技術や会社があるかを知るために、初期段階で業界のベンダーへ一般的な情報提供を求める文書。
  • 提案依頼書(RFP: Request for Proposal): ベンダーに対して、具体的な課題解決案、見積もり、スケジュールの提案を依頼する公式文書。
  • 見積依頼書(RFQ: Request for Quotation): 仕様がすでに細部まで確定しており、価格(見積もり)のみを競わせたい場合に発行する文書。

PMはRFPに対する各社の提案書を公正に評価するため、あらかじめ「ベンダー評価基準(重み付けされた評価シート)」を作成しておき、安さだけでなく、技術力や実績、マネジメント体制などを考慮して最適なパートナーを選定します。