6-1. コミュニケーション・マネジメント:適切な相手に適切な情報を
プロジェクトマネジメントにおいて、コミュニケーションは重要な活動の一つです。一般的に、「プロジェクトマネジャーは、業務時間の多くをコミュニケーションに費やしている」とも言われます。適切な情報を、適切なタイミングで、適切な相手に届けることは、プロジェクトを円滑に進める助けとなります。
コミュニケーション方法の3大分類
プロジェクト内で情報を伝達する手法は、情報の流れや相互作用の観点から以下の3つに大別されます。
| 伝達スタイル | 定義 | 具体的なツール・方法 | 最適な利用シナリオ |
|---|---|---|---|
| インタラクティブ (Interactive) | 多方向のリアルタイムな情報交換。送信者と受信者の間で即時対話・フィードバックが行われる。 | 対面ミーティング、Web会議、電話、ブレインストーミング、ワークショップ。 | ・複雑な問題の解決 ・合意形成や意思決定 ・認識のズレの即時調整 |
| プッシュ型 (Push) | 特定の受信者へ向けて一方的に情報を「送り出す」方法。受信者が実際に読んだか・理解したかは保証されない。 | 電子メール、社内チャット(メンション付き)、報告書の送付、レター。 | ・週次のステータスアップデート ・全社向けの決定事項の周知 |
| プル型 (Pull) | 情報にアクセスできる共有の「置き場」を用意し、受信者が自らの意思で情報を「取りに行く」方法。 | イントラネット、Wiki(Notion等)、共有ドライブ、タスク管理板。 | ・非常に大量の情報やドキュメント ・各自が都合の良いタイミングで参照すればよいマニュアル類 |
コミュニケーション・チャネルの計算式
プロジェクトチームの人数(ステークホルダーの数)が増えると、人間関係のつながり(コミュニケーションの経路)も増加します。チャネル数は以下の数式で計算されます。
チャネル数 = N × (N - 1) ÷ 2 (N = 人数) 例えば、チームメンバーが5人の場合、チャネル数は「5 × 4 ÷ 2 = 10」です。
しかし、人数が倍の10人になると、チャネル数は「10 × 9 ÷ 2 = 45」と、4.5倍に膨れ上がります。
人数が増えるほど、情報のすれ違いや「聞いていない」といったトラブルが生じやすくなるため、PMは会議体の整理や報告ルールのテンプレート化などにより、コミュニケーション経路の整理・簡素化を図る必要があります。
コミュニケーションの基本モデル
コミュニケーションは、単に「送る」だけでは成立しません。受信者が正しく解釈し、フィードバックを返すことで初めて完了します。
図 6-1:古典的なコミュニケーション・モデル(ノイズとフィードバックの介在)
会議(ミーティング)のテーラリング
プロジェクト進行中、目的が不明確な定例会議が増えると、メンバーの作業時間が割かれ、全体の進捗に影響を与える可能性があります。PMは以下の観点から会議の必要性を確認することが求められます。
- アジェンダ(議題)と目標時間を事前に共有しているか。
- 「報告だけ」の会議なら、プッシュ型の週次報告書やプル型のタスクボードで代替できないか。
- 会議後は、即座に「誰が・いつまでに・何をすべきか(ToDo)」を決めた議事録を共有しているか。